個人で事業をするか、会社にするか

税理士をしていてお客様からよく聞かれる質問です。

個人で事業をすることの１番のメリットは資本金というお金が要らない、元手無しで事業を始められるということです。また、事業をやめる時（廃業）も個人の場合は面倒な手続きがありません。

そういう意味で、少しずつ事業を始めたいと思う方や当面の間設備投資等で金融機関からお金を借りる必要がない方、人を雇わずに自分一人で事業を行う方などは個人で事業に適していると思われます。

個人で２年程度実績をつくった後に会社を作れば、資金を金融機関から借りる際も個人事業の実績を見てくれるので、借り入れがしやすくなります。

では、最初から会社にするメリットは何でしょうか？

個人事業では自分の給料というものがありませんが、会社にすれば自分の給料を会社から役員報酬という形でもらうことができるというのは大きなメリットの１つです。

また、個人に比べて会社の方が信用をしてもらいやすい場合があるようですので、それもメリットでしょう。会社にしないと営業許可が下りない業種がありますが、それはこうした信用（資本金）があることが裏付けになっていると思われます。

税金に関して言えば、以前は会社にすると個人事業よりも保険を活用した節税ができる、或いは消費税の非課税期間が延びる（一定の要件があります）等、得なことがあったのは事実です。しかし、現在は法律改正により会社のメリットは、かなり少なくなっています。

現在は資本金が１円でも会社を設立することが可能ですが、実際には２０万円〜３０万円（司法書士報酬により異なります）の登記費用が資本金とは別にかかります。また、会社を廃業にする場合には解散の申告そして登記をしなければなりませんので、時間とお金がかかります。

札幌では、１年間に１５００社程度の株式会社が設立されていますが、残念ながらそのほとんどは数年のうちになくなってしまいます。日本全国の１０年後の企業の平均生存率は５〜６％と言われています。

会社設立に関してかなり厳しいことを申し上げましたが、会社を経営するということは、こういった事実を受け止め、覚悟を持つことが重要だと考えております。ここで、会社を成功させるために必要な創業時のチェックポイントを列挙してみましょう。

1. 「事業を成功させる」という強い願望があること。
2. ある程度の資本金を準備できること。
3. 当面の間、自分の給料を会社からもらわなくても生活できるだけの貯金があること。
4. 上記３がない場合は、売上の目途がついていること。
5. 事業内容に将来性があること。

上記が全てではありませんが、今までの弊社の経験からチェックポイントを列挙いたしました。

ご参考になれば幸いです。

皆様の事業の将来が素晴らしいものであることを願っております。

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